ジェローム・ベル

ジェローム・ベル

ダンスの申し合わせに抗い続けた振付家が自らを語る、「自=伝的=振付的=図像的」パフォーマンス。

  • フランス
  • 日本
  • ダンス
  • 日本初演

フランスの振付家ジェローム・ベルは、「自=伝的=振付的=図像的(auto-bio-choreo-graphical)」なこの作品で、初めて自らの物語を語り、これまでに経験した疑念、献身、失敗、熱狂を観客と共有しました。環境への配慮から、この作品は常にその土地の俳優によって上演されます。今回は東京を拠点とする川口隆夫がジェローム・ベルを演じ、芸術行為と解釈行為、パフォーマンスとアーカイブの境界に挑みます。

ダンスの映像資料、モノローグ、そしてライブでの再演をおりまぜたこの作品は、過去の創作の検証であると同時に、絶え間ない再創造の身振りでもあります。

会場

KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
〒231-0023 横浜市中区山下町281

日時

12.5 Fri 19:00 – 日本語上演
12.6 Sat 15:00 – 日本語上演、ポストパフォーマンストークを予定
12.7 Sun 18:00 – 英語上演

上演時間

約120分

言語

日本語(12.5、12.6)、英語(12.7)

翻訳・字幕

なし

アクセシビリティ

  • 車椅子入場可
  • 多目的トイレ
  • 託児サービス

*車椅子席をご予約の際はYPAM事務局までお問い合わせください(045-264-6514 / ticket@ypam.jp)
*12.6 Sat 15:00の回は託児サービスあり(¥2,000)、公演1週間前までに要予約(マザーズ:0120-788-222)

チケット

一般 ¥4,500
YPAM参加登録者 ¥2,500

お取り扱い:YPAMチケットサイト、チケットかながわ(一般のみ)

*未就学児童入場不可。
*この作品には一部に裸体の表現が含まれます。

アーティスト情報

ジェローム・ベル

初期の作品(『name given by the author』『Jérôme Bel』『Shirtology』など)において、ジェローム・ベルは舞踊に構造主義的な操作を適用し、劇場的なスペクタクルから本質的な要素を抽出しようとした。形式的な諸基準を無効化して、振付言語から距離を置くことにより、作品は成立する最小限まで削ぎ落とされ、舞台の経済的条件とそこに存在する身体の批評的読解を可能にした。

その後、彼の関心は舞台上の実践としてのダンスから、特定の個人としてのパフォーマーへと移った。ダンサーのポートレートとしての作品シリーズ(『Véronique Doisneau』『Cédric Andrieux』『Isadora Duncan』など)では、実践者たちの語りを通してダンスに迫り、ダンス作品に言葉を積極的に取り入れ、舞台の一回性という問題に着目した。ここでは、振付とラディカルに対峙する反逆的身振りにおいて、形式的・制度的批評性が、言説を通した脱構築として展開する。

ジェローム・ベルは現代社会において主体が直面する危機と、その表象が舞台上で取る形態を意識しており、伝記的要素を活用して自身の問いを政治化する。その萌芽的取り組みとも言える『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』で彼は劇場の政治性を問い、『Disabled Theater』や『ガラ』でその問いは前景化している。非伝統的なパフォーマー(アマチュア、身体的・精神的障害者、子ども...)に舞台を提供することで、彼はフォーマット化された集団よりも多様性のコミュニティを、振付よりも踊ることへの欲求を優先する姿勢を示し、そこに芸術を通じた解放のプロセスのための方法を適用する。

2019年以降、環境への配慮から、ジェローム・ベルと彼のカンパニーは移動に飛行機を使用していない。彼の最新の諸作品(『Xiao Ke』『Laura Pante』『Dances for Wu-Kang Chen』 『ジェローム・ベル』など)は、この新しいパラダイムのもとで創作、プロデュース、ツアーされている。『Non human dances』(2023、芸術史家エステル・ジョン・メンギュアルとの共同構想)は、西洋舞踊の歴史と非人間的存在との関係を分析する作品である。

彼は現代美術のビエンナーレや美術館(テートモダン、MoMA、ドクメンタ13、ルーヴル美術館など)にも招かれ、パフォーマンスを行い、映像を展示している。多くの作品はパリ国立近代美術館 – ポンピドゥー・センター、FRACノルマンディーなどのコレクションに収蔵されている。また、定期的に大学(早稲田大学、UCLA、スタンフォード大学など)にも招かれ講義を行っている。2013年には振付家ボリス・シャルマッツと共著で『Emails 2009–2010』を執筆し、Les Presses du Réelから出版した。

2005年、『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』のニューヨーク公演に対してベッシー賞を受賞。3年後、ピチェ・クランチェンと共同で、『ピチェ・クランチェンと私』に対して欧州文化財団の文化多様性賞(Routes Princesse Margriet Award)を受賞。『Disabled Theater』は2013年にベルリンのテアタートレッフェンに選出され、スイスで「現代のダンス創作賞」を受賞。2021年、チェン・ウーカンと共同で『Dances for Wu-Kang Chen』に対して台新パフォーミングアーツ賞を受賞している。

川口隆夫

1996年よりパフォーマンスグループ「ダムタイプ」に参加。2000年よりソロ活動を開始し、演劇・ダンス・映像・美術をまたいでパフォーマンスの幅広い可能性を追求する。近年は『大野一雄について』(2013)などで舞踏を参照し、国内外40都市以上を巡演。『TOUCH OF THE OTHER』(2015)、『バラ色ダンス—純粋性愛批判』(2022)ではジェンダーやセクシュアリティのテーマに取り組む。21年に「TOKYO REAL UNDERGROUND」芸術監督、パフォーマンスイベント「INOUTSIDE」共同企画運営を務め、令和3年度文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

スタッフ/キャスト/クレジット

テクスト/映像:ジェローム・ベル

アシスタント:マキシム・キュルヴェール

テクスト翻訳:川口隆夫

出演:川口隆夫、フレデリック・スゲット、クレール・アエンニ、ジゼル・ペロズエロ、イゾルト・ロッシュ、東丸、足立智美、五十嵐萌、今井尋也、太田ゆかり、岡田智代、神岡磨奈、川村知也、佐々木香弥、篠村博昭、タケヤアケミ、田代絵麻、鄭順栄、富田大介、直江早苗、長坂美智子、長谷川寧、林亮佑、平川博昌、藤沢紀子、藤田一樹、前澤香苗、ますだいっこう、松澤輝朝、ジャン=フィリップ・マルタン、山口恵理香、アルド・リー、ヴェロニク・ドワノー、ダミアン・ブライト、マティアス・ブリュッカー、レモ・ボイゲルト、ユリア・ホイザーマン、ティツィアーナ・パリアーロ、ミランダ・ホッスレ、ペーター・ケラー、ジャンニ・ブルーマー、マティアス・グランジャン、サラ・ヘス、ロレーヌ・マイヤー、シモーヌ・トゥルオン、相澤陽太、新井悠汰、入手杏奈、梅村千春、Elhadji Ba、大北岬、オクダサトシ、金子紗采、木下栞、佐々木あゆみ、竹田仁美、BIBIY GERODELLE、百元夏繪、星遙輝、堀口旬一朗、矢崎与志子、吉田駿太朗、吉村計、李昊、キャサリン・ギャラント

撮影:ヘルマン・ソルヘルース、マリー=エレーヌ・ルボワ、本間無量、ピエール・デュプエ、matronFILM、クロエ・モセシアン
アーティスティック・アドバイス/R.B.エグゼクティブ・ディレクション:レベッカ・ラスラン
プロダクション・マネージャー:サンドロ・グランド

映像製作:フランス国立ダンスセンター、R.B. ジェローム・ベル、パリ・オペラ座/テルモンディス(共同制作:France 2/協力:Mezzo、フランス国立映画センター)、テアター・ホーラ、フレンチ・インスティテュート=アリアンス・フランセーズ(FIAF)、彩の国さいたま芸術劇場

作品製作:R.B.ジェローム・ベル
日本版製作:横浜国際舞台芸術ミーティング
共同製作:メナジュリー・ド・ヴェール(パリ)、ラ・コミューン国立オーベルヴィリエ演劇センター、フェスティバル・ドートンヌ、R.B.ジェローム・ベル

この作品のテクストの執筆は、ケイティ・ミッチェル、ジェローム・ベル、ローザンヌ・ヴィディ劇場の発案による「Sustainable theatre?」の創作過程の一環として行われました。このプロジェクトはEUの共同出資による「STAGES(Sustainable Theatre Alliance for a Green Environmental Shift)」により共同製作されています。STAGESのパートナーはスウェーデン国立劇場、台湾国家両庁院、NTヘント劇場、ミラノピッコロ劇場、リスボン国立ドナ・マリア二世劇場、リエージュ劇場、リトアニア国立劇場、クロアチア国立劇場、スロベニア国立劇場、トラフォー現代芸術館、MC93セーヌ=サン=ドニ文化会館です。

謝辞:カロリーヌ・バルノー、ダフネ・ビガ・ヌワナック、ヨレンテ・デ・ケースマイケル、ゾエ・ド・スーザ、フロリアン・ゲテ、キアラ・ガッレラーニ、ダニエル・レネ、グザヴィエ・ル・ロワ、マリー=ジョゼ・マリス、フレデリック・スゲット、 クリストフ・ワヴレ

R.B. ジェローム・ベルはフランス文化省・イル=ド=フランス地域圏文化局の助成を受けています。
ジェローム・ベルはノルマンディー国立演劇センター(コメディ・ド・カーン)のアソシエート・アーティストです。
環境への配慮から、R.B. ジェローム・ベルのカンパニーメンバーは飛行機で移動しません。
www.jeromebel.fr

制作・進行:呉宮百合香(DEZAR inc.)|照明:上山真輝|音響:稲荷森健、荒井勇人|舞台:株式会社ステージワークURAK|映像:吉田佳弘(株式会社エディスグローヴ)|映像編集:吉田一弥(DEZAR inc.)|技術監修:上山真輝、尾崎聡、稲荷森健|制作統括:平岡久美

KAAT神奈川芸術劇場|舞台機構:鈴木寿彦|照明:梶谷剛樹|音響:江口佳那|プロダクションマネージャー:平井徹|アシスタントプロダクションマネージャー:奥田晃平